大判例

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大阪高等裁判所 昭和27年(う)2200号 判決

刑事訴訟法第三九二条第二項により職権で調査するに、起訴状には、被告人が単独で柳再福に対し暴行を加えよつて治療約一週間を要する打撲傷を負わせた旨の公訴事実を記載し、罰条として刑法第二〇四条を掲げているに過ぎないのであるが、原判決は、右傷害をもつて被告人、丁相鐘の母及び金福今の暴行の結果ではあるが何人の暴行に基因するかを知ることができないとし、刑法第二〇四条第二〇七条等を適用して被告人を罰金五千円に処しているのである。

ところで、裁判所における審判の対象は、起訴状に公訴事実として明示された訴因の範囲内に一応限定されるのであるから、本件で被告人としては起訴状記載の打撲傷が自己の所為に基因しないという点について極力防禦方法を講ずれば足るのであり、もし裁判所においてそれ以外の事実を認定して被告人に刑事責任を負わせようとする場合には、起訴状自体において特にかかる事実関係を窺知できる記載のあるような場合(最高裁判所昭和二五年一一月三〇日第一小法廷言渡判決参照)は格別、起訴状にこのような記載がない本件にあつては、刑事訴訟法第三一二条所定の訴因変更の手続をとり、これに対する防禦の機会を与えた後、これに基き裁判をすべきである。しかるに、原判決は、前記のように、傷害が被告人の所為に基因するかどうかを知ることができない旨を判示しながら、訴因変更手続をとることなくして、訴因に明示されない暴行が被告人外二名によつてなされたが、その傷害を生ぜしめた者を知ることができないという刑法第二〇七条の構成要件である事実を認定することによつて有罪判決をしたのは、明らかに被告人の防禦権を害するものであつて、審判の請求を受けない事件につき判決をしたものといわねばならぬ。

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